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2010年9月30日木曜日

New Venture Creation -Lecture-

期待を持って参加したNew Venture Creationであるが、最初の2週間はレクチャーが続いた。

子曰く、Entrepreneurshipはベンチャー経営者だけではなく、大企業で社内ベンチャーに取り組む若手や海外で新規事業を立ち上げるマネジャーにも求められる資質であるが、その二つには大きな違いがある。ベンチャー経営者は失敗から学ぶ、もっといえば、ベンチャーはその本質からより不確実性の高い環境下でビジネスをするので、Trial&Errorを通じて成長することに学ぶことに慣れており、いい意味で失敗を恐れない。しかし一方で大企業のマネジャーにとって失敗は多くのケースで出世競争からの脱落を意味する。必然的に、彼らは多きな賭けを避け、痛みを伴うかも知れない改革よりも、前任者の築いた成果に小さな改善を加えていくことを優先するという。

これを聞いて思い出した。私ももともと大企業勤めが長かったのだが、企業の所謂内部昇進システムには入社当時から疑問を抱いていた。内部昇進システムからは経営者は育たず、ビジネスの一側面しか知らない人間を生み出しているのでははいかという思いがあったからである。

例えばあるプロジェクトに取り組むとき、社内横断チームを組むとする。営業、財務、法規、人事、原料購買等各Functionから人材を集めたとして、各セクションの若手マネジャーは各自の立場から意見を述べ仕事はするが、全体を統括するのはプロジェクトリーダーの仕事であり、意思決定をするのはさらに上の役員・部長クラスである。つまり実際に「経営してみる」という経験は本当の経営者クラスになるまで出来ないわけである。私は所詮人間は自分の体験した、または想像力の及ぶ範囲でしか考えることができないと思っているので、将来の経営者候補はなるべく若いうちに、遅くとも30台のうちに本物の「経営」の経験を積むべきだと考えている。考えてみてほしい、30台から何度も経営の経験を積んだ人と、役員になってから初めて「経営」をする人とでどれだけその「経営力」の厚みに差が出るか。

大企業単独ではなかなか若手にそういった経営ポストを用意することはできないかもしれない。しかし、グループ会社(子会社、孫会社)を含めた企業グループとして、出向人事だけでなく、人材育成を念頭に置いた戦略的なグループ企業人事を志向することで、親会社の管理ポジションと子会社の経営者ポジションを行き来するような人事を若手マネジャーに対して行うことができれば、若手の成長と組織の活性化にも貢献するのではないだろうか。

2010年9月22日水曜日

New Venture Creation -Introduction-

秋学期の授業の一つとして、"New Venture Creation"という授業を取っているがこれが結構面白い。

"Action-based learning"を標榜しているRossらしく、要は「実際にベンチャーつくっちゃえ!」というクラスである。授業を取っているビジネススクールの学生や他学部の学生からアイディアを募集し、そのアイディアに賛同する者同士でチームを組み、市場調査、ビジネスモデルの構築、ビジネスプランの作成、投資家へのプレゼンテーションまでを授業ではカバーする。有望なベンチャーにはスポンサーがついて起業のプロセスに進むこともあり、実際に過去にこの授業から産まれた会社がいくつもある。

教授はJim Priceで過去にいくつもベンチャーを立ち上げ、成功に導いたベテラン経営者であり、非常に"ナイスガイ"でもある。プロの教授ではないので、授業の進行には不備が見られることもあり、それが過去の授業評価を下げている要因だと思われるが(Rossでは、生徒による過去の授業評価をwebに公開している)、実際に彼のアドバイスを受けながらベンチャーを立ち上げる経験はエキサイティングに違いない(と期待している、まだ始まったばかりなので)。

さて、いくつかの案件の中から私が候補として選んだのは1. Ear protection device, 2. Pakdandi の二つである。 1はミシガン大学Engineering SchoolのPh.D学生が考案した、真空を利用した超高性能耳栓のプロジェクトである。私はもともと製造業のバックグラウンドもあるしアマチュアのパイロットでもあるので、自分の経験から、遮音機能と必要な会話のできるFlexibilityを備えたEar protection deviceには将来性があると思っており、一番興味のあるプロジェクトであった。しかし、教授にコンタクトを取ってみると、どうも製品のアイディアをもつ当のEngineering Schoolの学生本人がもう卒業してしまったらしい。よって第二候補のPakdandiのプロジェクトに参加することにした。

Pakdandiプロジェクトの概要は、インドの小学校~中学校の生徒を対象に、認知障害の早期発見スクリーニングテスト及び治療のためのロードマップを提供するというものである。もともとインドに興味があったことと、そのインドでベンチャーを立ち上げるという意味で二重に面白そうだと思い参加することにした。ちなみにPakdandiとは、インドのある地方の言葉で「あまり人が通りたがらない、森の中の小さな小道」を指すという。

チームはアメリカ人1、インド人2、中国人1、そして私の5人の多国籍チームである。どうなることやら、今から楽しみである。

2010年9月7日火曜日

My son was born!

昨日、U of Mの大学病院で無事に長男が誕生した。

日曜の夜に入院してから月曜の朝に産まれたので、かなり時間はかかったが、母子共に健康で何よりである。妻は慣れないアメリカの病院で文句を言いながらも頑張ってくれたし、娘も大人の都合で振り回されて大変だっただろう。

お世話になった病院のスタッフや遠くは日本から応援してくれた両家の両親、サポートしてくれた友人に含め、皆さんにありがとうございますと言いたい。

妻とも相談した結果日本ではなくアメリカで産むことになったのだが、将来この決断が吉と出るか凶と出るか、今はまだ分からない。ただ、少なくとも息子には二つのオプションを与えることができたのは確かである。彼が国籍を選択することになる22年後には世界はどうなっているであろうか。

ちなみに今日からビジネススクールの秋学期が始まる。ぎりぎり夏休みの間に産まれてくれて親孝行といえばそうなのだが、なにもこんなにギリギリにならなくてもいいのに。。一応、この事態は予想できたので、2-3週間分くらいの予習は貯めてあるのだが、今週はきっと病院に行ったり来たりで授業には出られないだろうな。。